第4章 蒼き竜と虎の娘④~誓い~
「…武田のお嬢さんじゃないですか…こんな時分にどうされました」
夜の色も濃くなってきた時分、唐突に私は伊達組に訪れた。
たまたま玄関を通りかかった、伊達の若頭に声をかけられて私はにこりと笑む。
「こんばんは、片倉さん。政宗にね、会いに来たの。通してくれる?」
じっと見上げれば、彼はひとつ頷いて。
政宗の部屋まで連れて行ってくれた。
「…政宗さま…武田のお嬢さんがお見えですが」
襖越しに片倉さんが声をかければ、中からずっと聞きたかった声が聞こえて。
「…通せ」
その言葉を合図に、私は片倉さんに御礼を言って政宗の部屋に足を踏み入れた。
「…こんばんは。急にきて、ごめんね」
「…別に謝ることじゃねぇ…まぁ、座れよ」
すでに風呂上がりの浴衣姿で、くつろいでいた様子の政宗に促されて。
彼の前にあった座布団に、ぴんと背を伸ばして正座した。
「けじめ、つけにきたの」
真っ直ぐに彼を見据える。
かち合った彼の視線は一度だけ、揺れて。
静かに私の言葉を待った。