• テキストサイズ

【戦国BASARA】極道パロ

第3章 蒼き竜と虎の娘③~恋い恋う~



『お前が欲しい』

政宗にそう告げられてから、私はずっと考えていた。

考えなくても、私がとらなきゃいけない道はわかりきっていたけれど。

それでも、政宗を想う気持ちが邪魔をして、踏ん切りをつけられないでいた。



「…政宗…」



ぼんやりと縁側で月を見上げる。
しんとした空気に、呟いた彼の名前が静かに響いて。


泣きたくなった。



政宗の声、唇、腕のあたたかさ、優しい隻眼の瞳。
あの日から、冷めやらぬ熱のように鮮明に体に残って。


離れては、くれない。



何も考えずに、彼の腕に飛び込めたらいいのに。

ふとそんな気持ちがよぎって、慌てて首を振ってその想いを消した。




「…お嬢、眠れないのでござるか…?」




突然、優しい声が響いて。
振り返った先には、幸村がいた。

いつも私をそばで支えてくれた、大切な人。

武田を捨てるということは、幸村や佐助を裏切るということになる。



「…ちょっと、ね…もう寝るよ」


にこりと微笑めば、逆に幸村は眉を下げて。


「…お嬢のそんな笑顔は、嫌いでござる」


そう呟くように言って、隣へ腰を下ろした。


「…幸村…?」


「お嬢は、政宗殿が好きでござるか」


真っ直ぐに見つめられて。
問うというよりも、確認をしたというような言い方に、思わず息をのんだ。
/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp