第9章 何事も全力で
ご飯食べて、シャワー浴びて髪を拭きながらリビングに出る。
「髪くらい拭いてからでろ、風邪引く。」
そう言う裕の言葉に
「今日は疲れてるからいいの。。」
と返す。
近くに彼が居るだけで、落ち着いてなにもかも忘れられる気がした。
だから私は由架の隣に座って彼の肩に頭をのせる。
「服が濡れる。」
そういいながらも、そこまで嫌がっている様子もなかった。
しばらくボーっとしながらテレビを眺める。
「今日は一緒に寝るか?」
そう、少し気を使って裕は私に言う。
「そうしよう、かな。一人だと寂しいし…」
私は素直に返事をした。
「俺は風呂に入ってから寝室に行く、先寝てろ。」
そう言うと私の頭をぽんぽんと撫で、浴室へと去っていった。
こう言うとき、私は思う。
彼を好きになってよかったなと。
裕が私のことを好きなことに気づくことも、私の心に新しい恋が芽生えていることも、何もかも私は回りの人間に気づかされた。
人のちからをたくさん借りたけど、回りの人がそれだけ何もかもに気がつかない私に世話を妬いてくれたから、今の私たちがある。
だからもし、新山くんに何か言われたとしてもきっちり断らなきゃいけない。
そう思った。
私が彼に同情してあやふやな返事を出したとしても誰も喜ばない。
誰も、幸せになれない。
だから、私は自分の幸福を守るためにも、自分の[部長]という肩書を守るためにも、[自分の発言には自分で責任を持ちたい]と思った。
明日、また何があるかわからない。
けれど、どんなプライベートの事情があったとしても私は[部長]であるかぎり[部下たちの見本であり、まとめる立場]だということを忘れてはいけない。
今度こそは、いろんなことで失敗したくないから…