第9章 何事も全力で
裕Side
「ただいま~」
仕事から帰ってきた由架の声が玄関へと響く。
俺は調理をしながらも
「おかえり」
と返した。
「ご飯、もうじきできるから少し待ってろ。」
俺はそう声をかけ、料理をさらに盛り付ける。
「あ、うん!」
返事をする由架は少し元気がない気がした。
机にできた料理の数々を並べる。
そして二人で机を前に椅子に座って
「「いただきます」」
そういって食べ始めた。
最近、由架のことで気がついたことがある。
彼女は何かあると必ず、暴飲暴食になる。
そして、今日の由架はよく食べていた。
「何かあったか?」
俺は思いきって聞いてみることにした。
今日は部長に就任して一日目だ。もしかしたらいろいろあるのかもしれない。
「何かあったって言うか…何て言うか…」
少し気まずそうに話す由架を見て、俺は何となく思った。
「人間関係か?」
俺の疑問に対して大人しく頷く。
1つといえど由架は年上だ。
俺なんかが相談に乗れる気がしなかった。
一年俺が遅く生まれた。
ただそれだけのことだが、俺にとってその一年はとても大きい。
けれど放っておくことなんてできるはずもなかった。
「俺でいいなら話聞く、いつでも言え。」
そう言ってみるが、あとで言ってから毎回後悔する。
なぜ俺は上から目線に物を言ってしまうのか。
「ありがとう…けど今のところは大丈夫だよ、今週はデートのために頑張るね!」
と彼女は空元気を出して笑う。
それを見て俺は
[話を聞いてやることもできない、頼り概のないこんなのが相手でいいのか。]
と思い詰めてしまった。