第9章 何事も全力で
彼の唇が私の唇へと迫る。
私は咄嗟に目を反らした。
「何てのは冗談です。」
彼は寸土めで止まってた用で、デスクに書類を置くと再び自分のデスクへと戻っていく。
「あ、あの!」
私が再び声をかけると彼は被せるように、
「初めて会ったときからあなたのことは好きでした。けど兄の相手だったので手は出せなかったです。それに、今も見た感じ本部長のことが好き、あるいは付き合ってるっぽいので手を出すつもりもありません。」
とPCに向かいながら言った。
「え?バレてるんですか?」
少し間抜けな声を出しながらも彼に聞く。
「バレてるもくそもありませんよ。明らか、本部長がまだ部長だったときのアピールで気づきませんか?それに最近は部長も本部長のこと目で追ってますよ。」
あれ、アピールされてるの気づいてなかったの私だけなの?
ふとそう思ってしまう。
私は意外と鈍感なのかもしれない。
そしてそれと共に彼が私を好きだと言うことを意識し始めた。