第7章 兄の考えと二人の気持ち。
「っと言うか突然電話かけてごめんね。さっき莉架から由架ちゃんが一人で旅行してるっぽいって聞いていろいろ心配になって…」
「いえ、全然大丈夫ですよ。こちらこそ、気を使ってもらっちゃったみたいですみません。」
そんな会話を交わす。
「その、もし俺のせいで何かあったりしたら弁解したりするのは全然するから…その、本当にごめんね。」
謝る壮さんに私は
「大丈夫です。けど、裕の方が気にしてると思うのでその事話してあげてくれませんか?心配だったんですよね?」
と声をかけた。
弟思いな壮さんを自分の姉と重ねる。
きっとあの二人は似た者同士なんだろうなと。
「あの、壮さん。」
私は声をかける。
「うん」
そう優しく返事をしてくれる壮さんに私は
「壮さんみたいな人がお姉ちゃんと一緒になってくれてよかったです。これからも姉をよろしくお願いします、電話口で申し訳ないですけど。」
と言った。
すると壮さんは慌てて私に
「とんでもないよ。そう言ってもらえて嬉しいな。こちらこそ、裕をよろしくね。裕があれほど人に対して執着したり愛情を示すのは初めてだから。きっと、あの子にとって君は大切な存在なんだと思うよ。今回のことは本当にごめんね。」
と言った。
「あの今日はこれで失礼します。」
私がそう言うと壮さんは
「あ!長くなっちゃってごめんね。それじゃ、またね。」
といって電話を切った。
ひとつ、事がスッキリしてその日は良く眠れた気がした。