第7章 兄の考えと二人の気持ち。
「もしもし。」
私が電話に出ると電話の相手は裕だった。
「由架!?家に帰ってないみたいだが、どこにいるんだ!?」
すごく慌てている裕の声が耳にはいる。
時刻ももう日付が変わる頃だ。不思議に思ったんだろう。
「机の上にメモ置いておいたんだけどもしかして気づかなかったかな?」
私がそう言うとガタガタと音がする。
しばらくすると落ち着いた声で
「ごめん、確認ミスだ。」
という。
「メモじゃなくてメールの方がよかったよね、ごめんね。」
私はそう謝る。
「いいよ、気にするな。たまには、一人になりたいときくらいある。楽しんでこい。」
そう言うと電話はきれた。
ツーツーツーっと、電話の切れた音が鳴り響く。
「二人で来たかったな。」
そう、私の独り言がホテルの部屋に漏れる。
一人で考え事がしたくて、自分からこの計画を練ったけどいざ一人で来てみると、寂しかった。
窓の外をみれば、綺麗な星空と海が見える。
私たちの住んでいるところでは見えない景色。
この景色も一緒に裕と見たかったな~なんてきて一日も経ってないのに思ってしまう。
私は携帯のカメラでその写真を納めるとSNSにあげた。
「一人旅~。」
その一言だけ添えて。
するとそのあとすぐにだろうか、姉から電話がかかってきた。
「もしもし。」
「あっ!由架ちゃん!」
電話に出ると出た相手はまさかの壮さんだった。
「あの、この前はごめんね。ただ、裕が今まで彼女がいたとか聞いたことなくてちゃんと付き合えてるのか心配になって。」
慌てて、壮さんは私に説明する。
「そう、だったんですか。」
私がそう言うと壮さんは
「だから、由架ちゃんじゃダメだ!とか思った訳じゃないから安心してね?」
と言われた。
そう言われて私は心のどこかで安心した。