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Diable Patron

第7章 兄の考えと二人の気持ち。


裕Side


今日一日、俺はあまり機嫌が良くなかった。



それにも原因がある。



今日は本部長に呼び出され、二人で話していた。




呼び出された理由は簡単だ。




「日向さんを部長に昇進させたいと思っていてね。」



「日向をですか?」



その話は唐突だった。



「ちなみにそれだと僕はどうなるんですか?」



俺がそう聞くと「君は本部長になってくれないかなと思っているよ」と返された。




本部長になれることは嬉しい。



今までの頑張りが認められたことになるから。




けれど本部長になってしまえばいろんな部の世話をしなきゃいけなくなる。



そうなるとどうしても、由架とは今まで通り会社でずっと一緒って訳にもいかなくなる。


それが堪らなく嫌だった。



俺がどれだけ苦労してあいつをこの部署に移動させたのか。



誰もそんなこと知らないが俺には遠い道のりだった。



確かに家に帰れば、また会えるのかもしれない。



けど由架と仲良く残業することもなくなる。



わりと毎日楽しみにしていた残業がなくなると思うと寂しかった。




本部長になれるのは嬉しい話だ。



でも前、部長に昇進できると言われたときの話よりは嬉しくなかった。




俺は多分、仕事が優先の人間ではなくなってきている。




前まで一番大切なものは仕事だった。



けど今大切なものは多分、由架だ。




その考えに確証がある訳じゃない。



けど、何となくそう思う。



[家に帰ろう。]



帰って由架の顔を見て元気だそう。



すぐに返事しなきゃいけないことじゃない。



まだ返事をするまで時間がある。



それまで冷静に考えて由架に話せばいい。



俺はPCを閉じて自宅へと帰った。
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