第7章 兄の考えと二人の気持ち。
視界が歪んで体がふらふらする。
どうやら今日も私は、酔ってしまったようだ。
「もう歩けない…」
飲みすぎた私は歩くこともままならなくて。
こんなことまえにもあったなーと思う。
「ほら、乗れ。」
そう言って裕は私に背中を向けてしゃがむ。
「重いからいい。頑張って歩く。」
私はそう言って無理矢理歩くも小さな小石に躓いて転けてしまった。
「頑張らなくていいんだよ、ほら。」
そういって裕はもう一度私に背中を向けてしゃがむ。
私はそれに無言で乗り、やがて裕は歩きだした。
彼の「頑張らなくていいんだよ」っと言う言葉さえ、私には痛かった。
[頑張る]
その言葉に自分が固執していることも、縛られてることもわかってる。
わかってるけど、それでも裕の一番になりたくて壮さんに認められたくて。
私はその言葉に固執してしまう。
そして[頑張る]ことが自分に負担になっていることも、もう限界値に達してしまっているのも、両方わかってるつもりだった。
[今の仕事が落ち着いたら、有休消化しよう。]
その有休の間、一人で旅行にいこう。
そこに行って少しだけ、彼とのことを一人で考えたい。
私は彼の背中でそう考えた。
一人で溜め込むのが良くないことはわかってる。
けど、重い女になるのは嫌だった。
彼の荷物になるようなことは絶対にしたくなかった。
だから荷物にならなくてもすむように。
私は私の気持ちと向き合う必要がある。
そんな難しいことを考えているうちに私は眠りについてしまった。