第3章 上司のしたかったこと
やがて俺は買い物を済ませ、携帯を再び見る。
そこには日向から住所が送られてきていて、俺はその住所へと向かった。
日向の住んでいるマンションの近くにあったコインパーキングに車をとめ、そこから歩く。
1分くらいですぐにマンションに着いた。
言われた部屋の前まで行き、インターホンを押す。
なにも聞こえないまま扉だけががチャリと開く。
「...すみません、部長」
顔をあわせてそうそう俺に謝る日向に俺は
「部下の世話を上司の職務のうちだ。ご飯の材料買ってきた。作ってやるから中入れろ。」
と言う。
テイクアウトにするかさんざん悩んだが、病人にテイクアウトをやるくらいなら作ったほうがいい気がした。
「どうぞ。」
そう言う日向に、「お邪魔します。」と言って部屋へとはいる。
「キッチンこちらです。」
そう、キッチンの場所を教えられる。
今のところ普通に日向は立っているが心配で心配で仕方がなかった俺は「わかった。できたら呼ぶ、それまで寝てろ。」と言ってキッチンへと入った。
そこから自分の手元を見て思う。
[何故袋が二つあるんだ]
一つは今さっき買ってきたうどんの材料。
もう一つはなんだろうか。
そして昼間のことを思い出す。
莉架さんから変わりに渡しておけと言われた袋だと言うことを。
けれど恐らく、日向は寝ている。
というか俺が寝ろと言ったから寝ている。
後ででいいか。
そう思った俺は日向の晩御飯の準備を始めた。
頭では日向のことを考えてといっているが、本当はいいところを見せたいだけだったのかもしれない。
今やっていることが自分のためだったのかもしれないなとなんとも言えない気持ちになった。