第18章 大好きな職場。
彼に言われる前から気づいてたんだと思う。
けど、認めたくなかった。
そんな私にそれを気づくよう促し、そのあとすぐに去っていった彼に、そんな自覚はないだろう。
今日の休憩はもうただひたすら、泣いているだけの休憩だった。
けど、今の自分がいかにダメかを認めるいい機会にはなった。
私は自販機でエナジードリンクを買い、それを一気に飲み干して化粧室に向かうと、泣いて赤くなった目元を化粧で治し、業務へと戻った。
そして私は午前とはちがい、プライベートのことをなるべく忘れて仕事をした。
でも、いつも通りに仕事ができない。
作業効率はいつもより落ちつつあった。
そしてあっという間に定時は来てしまい…
部下は定時で上がらせ、私は仕事が終わらなかったため、残業になった。
残業は久しぶりな気がする。
一人で残業がはじめてだった私は少し心細かった。
けれど、めげずに黙々と仕事を続けた。
すると、突然私以外誰もいなかった空間に人影が見えた。
よーくみるとそこにはコンビニの袋を持った裕がいた。
「なんで…」
私がそう呟くと彼は、
「部下の残した仕事は俺の仕事でもある。お前だけ残業させるのは不本意だからな。」
と言って私のデスクを覗いた。
すると彼はノートPCを隣に持ってきて作業を始めた。
そして彼が来たからか三十分もしないうちに仕事が終わった。
「ありがと…」
私がやっとの思いでそう言うと彼は、
「別に気にするな。俺も言い過ぎたと思う、ごめん。」
と言う。
けれど、彼は一切悪くない。
私情を持ち込んだ私が悪いのだから。