第16章 籍をいれると言うことの重み
裕Side
「本部長、お呼びですか。」
「あ、悪いがこれここを直してくれないか。」
「はい。わかりました。」
俺はそういつも通り仕事をこなす。
けれど昨日のことで引きずっていることがあった。
「今日の本部長と日向部長、ちょっと上の空じゃないですか?何かあったんですか。」
そう新山に聞かれハッとする。
こいつだけには気づかれたくなかった。
と言うのも、俺が引きずっていることはひとつ。
昨日の夜、やんわり結婚の話をしたらゆるく由架に反応されたことだった。
そしてそれからあまり話す機会もなく、由架は風呂に入ってしまい、俺が入れ変わりで風呂に入り上がる頃には先に寝てしまっていた。
いつもこう言うことがあると自分が先走ってしまう気がする。
今までこんな関係を持ったことが一度もなかったからか、距離感がつかめない。
でもそれが原因で由架と別れるのも嫌だった。
結婚がゴールじゃない。
そんなことはわかってる。
けど、由架がずっと俺から離れないって言う確約がほしかった。
別に由架を信じてない訳じゃない。
だけどそれでも、何かの拍子に離れていかないか心配だった。
俺はそれくらい、彼女に惚れ込んでる。
これが重いと思われるなら俺だってこの思考を止めたい。
だけど、この考え方は止まることを知らなかった。
好きすぎて辛いとはこの事を言うのだろうか。
でも他の人を好きになったことのない自分にはその事についても確信を持てなかった。