第15章 兄姉夫婦の知らなかった隠し事。
裕Side
それからしばらくして、俺は無理矢理兄とコンタクトをとった。
といっても、莉架さんにお願いして家の前で待ち伏せしていたのだが。
腕時計で時間を確認して、兄がもうそろそろ帰ってくる時間だと言うことを確認する。
するとしばらくして、兄が姿を表した。
「…裕。」
彼の顔は怯えていた。
けれど怯えてるのは俺も一緒だ。
「莉架さんには言ってある。今から少し話したいんだけどいいか?」
俺がそう聞くと静かに「うん。外じゃあれだしどこかお店いこうか。」といった。
そしてそれからしばらく二人で飲み屋がある付近まで歩いた。
二人、無言で歩く。
今までにないくらい気まずい雰囲気だ。
ここまで空気が悪かったことはないレベルに。
でもそれでも俺は覚悟を決めた。
もう、兄には[隠し事]をしたくないから。
自分の思ってること全部言おうって決めた。
正直この決断をするにもかなりの勇気を必要とした。
けれどこの話を由架に話したとき、彼女は「前は私が背中を押してもらったから、次は私が押す番だよ」と言って背中を押してくれた。
そんな彼女のためにも俺はこの事から逃げたくない。
自分の今持っているありったけの勇気を使ってもいいと思ってる。
そしてこれからも、ずっと、兄のたった一人の兄弟として生きていたいと思うから。
これからもずっと仲良くしていたいと思うから、俺はその一歩を踏み出した。