第15章 兄姉夫婦の知らなかった隠し事。
莉架Side
ぶっちゃけ、壮くんからこの事を聞いたとき、そんなことかって本気で思った。
実は持病があってあと少しで死んじゃうとかそんなことだと思ってた。
落ち込み具合から見て。
でもそんなことじゃなくて。
ただ単に血縁関係がないってだけ。
ただそれだけだった。
けど、彼らから見ればそれも大きなことだったのだろうか。
覚えていないというところを聞くと恐らく、幼いときに起こった出来事だと推測ができる。
だとすれば、彼らが過ごした時間は偽物じゃない。
私はそう思ったからそんなことだと思った。
他の人はどう考えるのかはわからないけれど、私はそう考えた。
けれど、彼には相当ショックな出来事だったのだろう。
そう私は彼の頭を撫でながら思った。
あんまり彼の弱った姿を見たことがなかったからか、あの姿を見たとき、私も心が許されているんだなと安心してしまった。
こんなことを知らされたタイミングで思っちゃいけないことだとわかっていてもなぜかそう思ってしまったのだ。
そんな私は自分勝手なのだろうか。
そうは思うものの、今私が自分を追い詰めてもなにもならない。
私はそう思い、自分の悩みを棚にあげた。
由架はこの話を知っているのだろうか?
裕くんは知っていると言うことは彼の言い方で推測ができる。
でも、由架はわからない。
もし知らなかったとしたら、第二の被害者のようなことになってしまうかもしれない。
たかがそれ、されどそれだ。
けれど私の口から言うのも気が引けた。
悩みに悩み、いろんな悩みが積もるが、私にはひとつひとつ答えを出すことができなかった。
「ダメだな~、私。」
そう静かに呟きながら私は布団のなかに潜った。