第15章 兄姉夫婦の知らなかった隠し事。
壮Side
「…僕が聞いたのはこれで全部だよ。」
恐る恐る莉架に今日聞いたことをくまなく伝える。
すると彼女の顔はなぜか明るくなった。
しばらくしてから彼女は口を開く。
「でも、二人が同じ時間を過ごしてきたのは変わんないよね?」
彼女は僕の手を掴むと、
「血が繋がってなくても、私たち姉妹と張り合えるくらい同じ時間過ごしてきたよね?ならもうそれって血縁関係なんてどうでもいいと思うよ、私は。」
と言った。
お世辞かなとか思った。
僕をなだめるための応急処置かなとか。
でも、彼女の目を見たとき、確信した。
[莉架は、本気で言ってる。]
僕はその目を見たとき、自分が一番誰のことも信じてなかったことに気づいた。
よくよく考えていれば、あぁいったからって父さんは家族じゃないなんて言ってない。
「そんなに、思い詰めなくてもいいと思うよ。無理矢理受け入れようなんてしなくていい。少しずつでいいんだよ。」
状況を必死に飲み込もうとする僕にそう彼女は呼び掛けた。
「ありがとう。」
そう一言だけ告げるといつのまにか僕は泣いていて、その涙をそっと拭う莉架の姿があった。
[こんな情けないやつと一緒になってくれてありがとう。]
[こんな情けないやつの隣を選んでくれてありがとう。]
僕はそう心に思いながら彼女の肩に顔を埋めた。
「…また、なにか悩んだ言ってね。それが私の役目だから。」