第15章 兄姉夫婦の知らなかった隠し事。
壮Side
今日の昼間、実家から連絡があった。
「話がある。仕事帰りによってほしい。」
そう、父から直々に。
僕はてっきり何かいい報告かあるいは対した用事ではないだろうと気楽な気持ちで、実家へと仕事帰りに立ち寄った。
けれど、俺を待ち受けていたのはいい知らせばかりではなくかったのだ。
一つ目は俺が心のそこから望んでいたことで。
莉架のお母さんが裕たちの関係を認めたって話だった。
それはすごく嬉しくて。
いつの間にか目からは涙が溢れた。
人との関わり方が苦手な裕に大切な人ができてそれが認められたんだから喜ぶ以外ないだろう。
でも二つ目は僕が考えたこともなかったことだった。
「しっかり聞いてほしい。今から話すことは本当のことだ。」
そんな前ふりから始まり、何があるのかと思った。
父か、母が病気になったのかと思った。
けれど、そのようなこととは全然方向性が違うものだったのだ。
「…裕は自分達と血が繋がってないんだ。」
「…は?」
思わず柄にもない声をあげた。
いや、あの裕が?
そんなわけない。
小さいときからずっと一緒だった。
だとしたら取り違えか?
そんなわけもない。
けれど、あまり年齢差のないからかその頃の記憶があまりない。
「…じゃあ裕はどういう経緯でうちに
…?」
そっと聞くと、父からはこんな言葉が出た。
「…裕は養子だ。」