第15章 兄姉夫婦の知らなかった隠し事。
莉架Side
家に帰ると旦那が項垂れていた。
「どうしたの、壮くん。」
私は彼のほっぺをつついてそう聞いた。
「言いたくない…認めたくないんだよ…」
こんな弱々しい彼はみたことがなかった。
一度、彼の友人に聞いたことがある。
[壮はショックなことがあったときと極度の緊張に陥ったとき、みたことがないくらい落ち込み、体調が悪くなる]と。
彼の友人いわく、私にプロポーズする前、少しこの状態になっていたといっていた。
[まさか、いつかみる日が来ると思ってたけどこんな突然だなんて思わなかったな。]
私はそう思いながら彼の頭を撫でた。
「…言いたくないか…じゃあ言いたくなったら言って。いつでも聞くから。」
私はそういって彼の隣へと腰を下ろした。
「…お腹すかない?何か作る?」
私がそう聞いても彼は相変わらずの無反応だ。
こういうとき、私まで落ち込んでいても何も現状は変わらない。
それなら明るく振る舞ってる方が私らしいし、彼もきっと少しは元気が出るはず。
私はそう思って、
「何か適当に作るね。」
と笑顔で言い、キッチンへと向かった。
あの人は、特に好物とかもなくて、私が作れば何でも食べてくれる。
今まで料理で失敗したことも数々あったがそれも文句言わずに食べてくれたくらい優しい人だ。
けれどその分、同じくらい優しく接してあげないと、心はナイーブで。
誰よりも優しい分、誰よりも打たれ弱い。
こういうとき、支えてあげるのが私の仕事だ。
何があったのか、わからないのがもどかしいが私はそのもどかしさを隠して、キッチンにたった。