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Diable Patron

第14章 家族会議


ボーッとしながらいるとバーテンはひとつのグラスを私の目の前に置いた。





「…おまたせしました。シンデレラになります。」






私は並べられたグラスに疑問を持つ。





「…あの、シンデレラってノンアルコールカクテルですよね?」





そう、シンデレラとはノンアルコールのカクテルでオレンジジュース、レモンジュース、パイナップルジュースを混ぜた物。





いつもこのバーテンさんは当たり前だがアルコールの入ったものを出してくれるため少しだけ驚いた。





するとバーテンさんは少しだけ口を開く。


「…今日はお疲れのように見受けられます。疲れているときのお酒の摂取はあまりよくないので…僕でよければお話にお付きあいさせていただきますよ。」




そういわれ私はグラスを揺らしながら詳しい事情は伏せつつも話す。




話しただけでも少しスッキリした気がしていた。





「ありがとうございます、話しただけでも少しスッキリした気がします。」




私がそう言うとバーテンさんは



「いえ、お力になれたようならよかったです。」



と微笑む。





私が料金を置いて、お礼をいうと、




「いえ。またお越しください。」



と言われた。





最近はここを訪れる頻度も減っていたが、何年か前から通っているからか、ここに来るとどこか落ち着く。





前までは大人の特権である、お酒の力で疲れや、悩みが少し忘れられるんだと思っていたけれど、あの安らぎはバーテンさんが話したり気遣いをしてくれているからこそ、成り立っていたのだと学んだ。





また、裕と来たいな。




私はしばらくそんな落ち着いた時間がないとわかっていても、そう少しだけ望んでいた。
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