第13章 説得と決意
裕Side
父さんがそう言ってくれたことで少し気が楽になった。
「でも、向こうのこともあるのよ?私たちだけの判断でいいと言えるの?」
それでも食い下がる母さんに父さんは
「もう自分で判断できない子供じゃないだろう?それくらい自分達で説得させればいいさ。」
といい、そのあと帰っていってしまった。
静まり返った空間に、俺がひとつため息をする。
すると由架が話しかけてきた。
「いい人たちだね。」
そういわれ、悪い気分はしない。
「まぁな。」
こんな冷たい返事しかしてあげられないけど、それでもついてきてくれることに喜びを感じた。
それと共に自分の中にとある感情が芽生える。
[結婚したい。]
その考えは自分が考えた上での選択で。
そこまで安易にかんがえたわけでもない。
色々考えていた上での考えだった。
理由はさまざまだが、大きな理由はひとつ。
[由架との関係は堂々としていたい。]
この事を思ったことがなかったわけじゃない。
けれど両親にバレたことによってひとつ、思ったことがあった。
[これからは彼女と支えあっていきたい]と。
今までがそうじゃなかった訳じゃない。
けれど意識したことはなかった。
でも、今もし、プロポーズしたとして、OKしてもらえるのだろうか?
彼女の両親がどう思うかわからない。
彼女もどう思うかわからない。
最近昇進したばかりなのだ。
もしかしたら嫌かもしれない。
もう少し仕事に向き合いたいと思ってるかもしれない。
それに、プロポーズをもし断られたとしたら、別れることになってしまうかもしれない。
俺にそんなリスクを負うことがてきるだろうか?
そんな度胸備わってはいない。
俺はその日、あまり眠ることができなかった。