第2章 上司の理解不能の言動
「部長ー、日向ー、お疲れ様です。」
そう言って次々と仕事仲間が職場へとやってきた。
「仕上げなきゃいけないのってどれですかー?」
そう聞かれるので私は
「部長のデスク近くにある机の上の全部です!結構な量ですけど頑張りましょう!」
と声をかけた。
メンバーが揃い、私たちは六人で黙々と作業を続けた。
六人でやると山はあっという間に平たくなり、いつのまにか書類の山はなくなっていた。
「よし、今終わった。お前らもよくやった。」
そう部長が声をかけたとき、外はすこしだけ明るくなっていた。
「しゃー、終わったー!」
「疲れたねー。」
他の人たちも思い思いの言葉を言う。
すると部長は「もう朝だ。今日はお前たちは有給使っておくから休め。」といいはじめた。
「部長も有給使われるんですか?」
私がそう聞くと部長は首を横にふった。
「俺は昼から出勤する。仕上げた書類を先方に持って行かなきゃならないからな。」
部長の衝撃の言葉に私はびっくりした。
他の残業した仲間たちは有給といわれた瞬間、帰っていってしまった。
けど残業を一緒にした以上、私は責任持って最後までやりたい。
「私も先方まで行きます。」
すると部長は
「ちょうど誰か連れていく予定だったから助かる。それじゃ、俺は休憩室で仮眠取る。日向は一回家帰れ。先方には昼過ぎに行く。それまでに出勤してくれればいい。」
といって休憩室にいってしまった。
部長はおそらくこのまま会社に泊まるつもりだろう。
この人、本当仕事人間だなー。
ある意味これだけ仕事に打ち込めるのは尊敬できる。
私はそんな部長をおいて会社を出た。
家路について私はアラームと目覚ましをセットする。
うまくいくといいな。
そう心に願って。