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Diable Patron

第12章 上司と部下の張り合い


裕Side




そのあと俺は必死に仕事を続けた。



私情で自分が乱されないようにただひたすら、何も考えず無で。




けれどそれでも頭を過る、由架のこと。



あの手当ては誰がしたんだろう?



新山だろうか?



帰りはもちろんのごとく二人だっただろう。




自分の独占欲というものに初めて気がついた気がした。




自分が他の人間のことで頭が一杯になることなんて初めてだから。




だからこそ、自分が怖くなる。




それでも頑張って仕事を早く終わらせた。




仕事でがんばったなんて思ったのも初めてだ。





彼女はいい意味でも悪い意味でも俺に初めてを教えてくれる、そんな人なのかも知れない。





そして、今日に限っては「何時に帰れそう?」の彼女にメールした。




ちょっと他の男と二人でいただけなのに、嫉妬して彼女に触れたくなる。




けれど会社じゃそれは許されないから、俺は彼女の帰りを家で待つ。





けれど、帰ってもしばらく、メールの返信はなくて。




やっときたと思えば内容は俺の望むものじゃなかった。




「さっき仕事終わったんだけど後輩に飲みに誘われたから遅くなると思う…ごめんね。」




後輩って誰だろう。




それさえも気になるが、こんなこと、本人に言えば嫌われる。





俺はそれを隠すことしかできなかった。

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