第12章 上司と部下の張り合い
裕Side
「…本部長?聞こえてますか?」
そういわれ、はっと現実に戻される。
疲れが出てきてるのか、私情に振り回されて身がしまってないのか。
少し情けないなと思いながら部下へ対応する。
「最近、本部長疲れた顔してらっしゃいますよ…この仕事終わったらすぐに帰った方がいいんじゃないでしょうか?」
そう言われ、部下にも自分が疲れを見せていたことに気がついた。
こんなので本部長など務まらない。
そう思うことが最近、少しあった。
「あっ、新山さん!それに日向さんも。戻ってきてくれてよかったです!困ってたので。」
そう言って戻ってきて早々頼りにされる部下たちをみて、こうなるくらいならあいつらにこのフロアを任せたらいいんじゃないかって。
そんな無責任なことを考える。
ある程度仕事もまとまり、少しだけぼーっとしてると由架が小走りで俺の方へとよってきた。
それを追って新山が「日向さん!走らないでください。悪化します。」といって追いかけてきた。
「新山くん…大丈夫だよ。それより本部長、頼まれたのちゃんとお渡ししてきました。」
それより報告が先なのか由架は自分のことを気にせず、俺に話しかけてきた。
「何かあったのか?」
俺がそう聞くと
「歩きすぎで少し靴擦れしてしまっただけです。気にしないでください。」
と言って去ってってしまう。
歩いていく後ろ姿をよくみると、足元には念入りに手当てがされていてそこにはガーゼが当てられていた。
「気にしないでくださいってなんだよ…少しは俺のこと頼れよ…」
俺はそう小さく呟いた。