第12章 上司と部下の張り合い
後ろを振り返ると頭を下げている新山くんがいた。
「新山さん。でも、新山さんもその仕事できますよね?私たちと同じフロアで仕事をしていたんですから。」
二人で頭を下げても全く折れる様子がなく、私は少し心が折れていた。
「それでも、今はあなたたちの力が必要です。二人でも、一人でもいいので、力を貸していただけませんか。」
ずっと頭を下げ続ける新山くんに心が折れたのか、
「…わかりました。半分、こちらに持ってきてください。終わり次第、すぐにそちらに持っていきます。それでいいですよね?」
そういってフロアの奥へと去っていった。
「ありがとうございます!」
私はそうお礼を言うと新山くんにも声をかけた。
「ありがとう、助かったよ。私だけならどうにもならなかったよ。」
「いえ。あのフロアは考えが固く、他の部署に一度上げた仕事はやり直さないような人が多かったイメージがあったので。役に立てたのならよかったです。」
彼はそういってうちのフロアへと先に戻っていってしまう。
彼はとっても仕事熱心で、仲間思いで、どこか裕に似ている気がした。
「私、ダメな上司だな…」
私はそう独り言を呟き、フロアへと戻る。
自分がいった言葉なのにどこか心に刺さった。
私がフロアに戻ると早速私たちの元にも仕事が回ってきていた。
「部長!本部長が呼んでましたよ!!」
仕事を始めようとすると早速そういわれ私はあわてて裕のデスクへと向かった。
「本部長、どうかしましたか?」
私はあわてて彼の前に行くと、
「あ、来たか。あの、申し訳ないんだが、これを先方に持っていってくれないか。」
といわれる分厚いのファイルを渡された。