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Diable Patron

第12章 上司と部下の張り合い


隣のフロアに助っ人を呼ぼうとフロアを出たときのこと。



「あ、日向さん。おはようございます、あわててどうしたんですか?」




いつも通り、どこか余裕の面持ちで新山くんが出社してきていた。




「あっ、新山くん。おはよう。あの、この間回されてきた仕事明日納期で、主軸ができてないやつだから隣のフロアから助っ人呼んでこいって裕じゃなくて…本部長がいってて。助っ人呼びにいくところ。」



あわてて裕と呼び掛けるも、あわてて言い直す。




「あ、そういえば本部長以前、いろんな部署にいたって話でしたもんね。それなら僕もできるかもしれないです。」



「え?」




彼の言葉に私はビックリした。




「あ、以前僕あのフロアで最初の方少しだけお世話になってたことがあるんですよ。結局、今のフロアの方が出世コースだとか言われて移動になっちゃったんですけど。だから一通りはできますよ。」




そうだった、この人インテリだった。



裕と同じ出世コース組だ…




「あ、じゃあ本部長のデスク向かってもらっていいかな…?多分、一人だとかなり大変だろうから。」




私はそう声をかけた。




「はい、日向さんも助っ人呼びにいくの頑張ってくださいね。」




そう意味のわからない言葉を残し、彼はうちのフロアへと去っていった。



そしてそのあと私はそのフロアで衝撃的な光景を見ることになった。




「ですから、そちらに回した仕事はそちらに回した仕事です。私たちは手伝う義務はありません。っていってもどうせ、私たちいないとそんな上っ面ばかり製作、企画しているようなフロアにできっこないんでしょうけど。」




私はかなり論破されていた。




「それでも!あの仕事を残したのはあなたたちですよね?そこをお願いします。」




「それを請け負ったのはあなたたちです。私たちも仕事があるので。」




そのフロアの人たちは私の話を聞く耳を持たず、デスクへと戻っていってしまう。




私が困っていると、後ろから声がした。



「僕からもお願いします…」

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