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Diable Patron

第11章 部下の憂鬱


裕Side



「裕!あそこにくらげいるよ~。」



昨日も色々あって疲れているだろうに、その疲れを一切感じさせない。




それだけ、今日を楽しみにしていてくれたのだろうか。




少しだけ嬉しくなった。




今日の日のために、俺だけのために、彼女は自分の引っ掛かっていた部分をすべて解決してくれた。




我ながら、女を見る目はあるらしい。




手を繋いで、二人っきりでデートなんてしたことなくて緊張しかなくて。




きっと同年代のやつはとっくの昔にこれを経験してるんだろうなと思いながら過ごす。




彼女といる時間は今の俺にとって一番大事な時間だ。




水族館なんて、小学校の時に家族で来て以来だった。




こんなに楽しいところだったかと、過去の思い出を探る。




確か、その時は俺と兄さんが二人で水族館を探検するとかいって二人揃って迷子になったんじゃなかっただろうか。




最終的に迷い混んだのが深海魚のコーナーで。




少し薄暗くなっていた場所に俺は怯えてた。




そのあと、兄さんが必死に両親を探しにってくれたんじゃなかっただろうか。




今思えばただのこどもの迷子だが、小さいながらにこんないろんなことに立ち向かえる勇気がほしいと思ったのを覚えてる。




あの時はたまたま父親も休みがとれて。





仕事人間な父親と出掛けられたゆういつの記憶でもある。




「…?どうしたの?」



ぼーっと考えていた俺を彼女が現実へと引き戻す。




海の中にいるような幻想的な世界と彼女の心に俺は引き込まれていった。




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