第11章 部下の憂鬱
秋Side
そして次の日、氷山本部長のデスクに行けば、普通に仕事を任せたいとかそうゆう話で。
正直なところいえば、最近自分でも彼女との距離が無意識に近くなっていたりしたし、その事について言われるもんだって思ってたから驚いた。
そして僕は唖然としながらも会社をあとにする。
僕は恋敵という存在にもなれないのだろうか。
むしゃくしゃが止まらない。
そんな意味はないはずなのに、自分への存在否定にもとらえられて嫌になる。
そしてそれの当て付けかのように先日合コンで会った女の子に連絡をとって、打ち所のない怒りを抑えた。
「新山さんと二人で出掛けてみたいです!」
そんなメッセージが来て、
「じゃあ週末どこか二人でいこうか?」
と返信を打つ。
けれどどれだけ向こうからよってきても、僕の気持ちはなにも満たされない。
当たり前だ。
だって[好きな人じゃない]のだから。
兄弟揃って、同じ女に溺れて。
二人揃って相手にされない。
僕たちはいったいなにをやっているのだろうと思ってしまう。
けれど兄は少しでも相手にされてた。
それは兄が努力をしていたからなのか?
それとも僕がただ単に気にきられなかっただけなのか?
僕の気持ちは永遠に報われないのだろうか?
自分の惨めさに少しの怒りを覚えた。
自分の立場がここまで憎いと思ったのも初めてだ。
恋とは苦い。
恋何てしたくない。
いや、したくなかった。
けれど、無意識にしてしまうものなのだろうなと思う。
これだから世界は残酷だ。