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Diable Patron

第11章 部下の憂鬱


秋Side



そして最近は学生時代の友達に合コンをセッティングしてもらい、それに参加する。



要するに、彼女の代わりがほしい。




代わりなんてない、そんなことはわかってた。




わかってても、その穴を埋めるなにかが欲しかった。




その辺にいた女と適当に遊んで。




それを何度繰り返しても満たされることのない心。




僕は魅了されている自分に腹が立ち、自宅の壁を思い切り拳で叩いた。




すると近所迷惑だからだろうか、叩いた方の隣の部屋から同じようにドスッ!と叩き返してきた音がした。




顔もほぼ合わせたことのない隣人は壁を叩けば叩き返してくれるのに、彼女は僕がどれだけ追っても、振り返ってくれない。




これって理不尽ではないかと。




そう思ってしまう。




けれどその考えこそが彼女にとっては理不尽と思われるのかもしれない。




「嫌い」



そう言われてもいい。




「最低」




そう言われてもいい。





だから、隣にいさせて。


そう願えば、少しでも近くに居させてくれるだろうか。





そんな望みは叶わないのだろうか?




そんなとき、僕の携帯が音をならした。




携帯には「氷山」と名前が出た。



部長とも、本部長ともついていないのはそうだな、彼のことが羨ましかったからだろうか。




僕はその電話におとなしく出た。




「もしもし、氷山だ。勤務時間外にすまない。明日、少しお前に頼みたいことがある。勤務時間が終わったら少しだけ、俺のデスクに来てくれ。そう時間は裂かせない。」




そう淡々と用件を僕にいう。




「わかりました。お疲れ様です。」




「あぁ、お疲れ様。」




そういってプツリと切れる電話。



彼は僕のことは嫌いだろうに、なぜあそこまで冷静にいられるのか。僕にはわからない。




僕だったら、あそこまで冷静にいられない。




こう言うところが、僕が彼女に気に入られない理由なのかな?
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