第10章 初デート
幸弥Side
今日は久しぶりに由架から連絡があった。
名前が携帯のウィンドーに出たとき、心のどこかで「復縁話かな?」と嬉しくなった。
けれどそんなはずはなかった。
「もしもし…あの、日向です。突然なんですけど明日、会えませんか?私のこと、ちゃんとフってくれませんか。」
今までそんな連絡もらったことは人生で一度もない。
ましてや「フってください」何て言われたのは人生で初めてだ。
何となく、そんなようなこと言われるんじゃないかって心のどこかでわかってた。
わかってたつもりだった。
けど、自分が望んでいる答えではなかった。
「あぁ、大丈夫だよ。」
俺はそう言うことしかできなかった。
けれど自分には得にも思えた。
だって、最後に会ったときは俺が彼女の中で一瞬でも悪者だって思われた日だったから。
明日、会うのが本当に最後だと思う。
これからは町ですれ違っても、どこかのお店で会っても、何があっても、ただの[知らない人]になろう。
そう心の中で誓った。
だって、そうでもしないと、自分が辛くなるから。
そして俺は自分の幸せよりも、彼女の幸せを優先したい。
これは彼女が新しい恋へとスタートできるための第一歩になる。
それなら俺は喜んで踏み台になる。
俺は彼女から素敵な恋と、楽しい時間をもらった。
だから、俺も彼女に何かを送ってあげたい。
もし、今まで彼女にもらった幸せな時間にそれでお返しができるなら、喜んでお返しがしたい。
それが俺のできることだから、
彼女が俺の最愛の人だから。