第10章 初デート
「やっぱり、私幸弥のこと、しっかり踏ん切りついていないんだと思う。」
私は思いきって彼に言ってみた。
裕はうつむいたままだ。
だってそうだろう、元カレのことが忘れられないと言われているようなものなのだから。
「…こんな状態で、裕とデートにはいけない。」
私がそういえば彼は私に言った。
「じゃあ、それ、綺麗に決着つけてこいよ。じゃないと俺もそんな状態の由架と出掛けたくなんかない。」
彼は無理して笑ってるように私には見えた。
あまり、他人に彼は笑顔を見せない。
けれど自分には何度も笑いかけてくれたりして勝手に喜んでた。
けれどその笑顔を今の私は汚してしまっている。
このままではいけない。
そうさらに思えた。
休日の二人で出掛けると約束していた日は延期になるだろう。
悲しいとも思うが全て自分が招いたこと。
どうあがいてもその事実や現状は変わらない。
変わらないのなら、自分で変えていくしかない。
「出掛ける日は明後日だよね…」
私は聞く。
それにコクりと彼が頷くのを確認したら、私は意を決して言った。
「明後日までには決着をつける。だから待ってて。」
この言葉には嘘偽りはひとつとしてない。
言葉にして自分で言って自分にも言い聞かせでいるつもりだ。
私はもうこれ以上ない自分の幸せを失いたくない、その一心だった。