第6章 母と妹の秘密『晴人side』
俺には母と父、妹の
3人の大切な家族がいる。
別に特に目立ったことはないけれど、
とても幸せな家族だった。
だけど、数年前。
おばあちゃんが亡くなった時のことだった。
母は俺を呼んでこんな話をしてくれた。
「隠していてごめんなさい。実は…」
鳴海グループ。名前はもちろん聞いたことがある。
とても有名な会社だ。
当時、中学生だった俺でも
ニュースで耳にしたことがあるくらいの
大手企業の名前だから。
おばあちゃんがそこの社長をしていたこと、
女が後を継がなければいけない事。
全てを聞かされた。
おばあちゃんが亡くなった今、
正式な跡取りは母だ。
そしてゆくゆくは妹になる。
「このことはくれぐれも由美には内緒に。」
母は一言、俺に釘を刺すと、
元いた場所に戻って行った。
突然にいろいろなことを聞かされて
少しパニックになったが、
落ち着いて現実に戻ってきた俺が
最初に思ったことは何故か分からないが、
『妹を守らなくちゃ。』
っていう正義感だった。