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兄に恋したはずなのに

第5章 見知らぬ影


あれから何時間が過ぎたのだろう。

どこかのホテルの一室だろうか、
母に連れられてきた場所は
凄く綺麗な所で
特にすることもない私は
ずっと部屋を見つめていた。



「由美?」



突然扉が開いて母が入ってくる。
どこか様子を伺っているように見えた。


「なに?お母さん。」


私は笑顔で聞き返した。


私が悩んだって、
現実は変わることはないのだから。


「考えてくれた…?」



母は父を好きになって家を出たが、
おばあちゃんが亡くなったのを
きっかけに後を継いでいたらしい。

でも正式に本家への移動が決まって
私についてこいと言っているのだ。


別についていくことは構わない。
後を継ぐことだって、私に出来るのなら
やろうと思っている。


だけど…、


私の頭の中には姿を見れていない
兄のことでいっぱいだったのだ。



「お兄ちゃんは…?」



「え?」



「お兄ちゃんはどうなるの?」


私は疑問をぶつけた。
すると母は重々しく口を開いて、


「晴人は…」



聞きたくなかった。
嘘って言ってよ、ねぇ誰か。



「アメリカに留学を考えてるって…。」


知らなかった事実を
人から聞かされるのは
こんなに苦しいことなんだね。


ね、お兄ちゃん。
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