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兄に恋したはずなのに

第5章 見知らぬ影


兄があの話をしてくれてから
前みたいに悩むことはなくなったものの、
やっぱり心の中のもやもやが消えなくて
私は少し気分が悪かった。


「由美ー、」


「ん?なに、真衣。」


「あのさ、」



それはいつも通りに
真衣と2人で下校している途中だった。


「さっきから誰かにつけられてる。」


真衣はこそっと私に呟いた。

驚きはしたものの、
すぐに振り向いたりしたら怪しいので
行動には出さない。


「真衣、うちに泊まっていきなよ。」


「そうする。」


私も真衣もなんだか嫌な感じがして
身の危険を回避するために
近い私の家で様子を見ることにした。


家に入るとすぐにカーテンと
鍵を閉めて私たちは
部屋にこもった。


「顔、見たの?」


「全然見えなかったの。」


「怖いよね…」


「うん。」


私はあまりに怖いので
兄に電話をかけようと思った。

でもそこで気がついてしまったのだ。


真衣はうちの学校の生徒だ。
ここに兄が帰ってきたら、
鳴海晴人が私の兄だとバレてしまう。


私はどうしようか考えた挙句、


「ね、真衣。家まで送っていくよ。」


「え?」


「家の方が安全でしょ?」


「まあ、うん。」


そう言って、私は
真衣を家まで送り届けることにした。
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