第4章 ユーリ♡現実は想像よりも甘く
『ココ様...?』
「どうして...!私......ユーリのこと、信じてたのに...!」
ぽろぽろと涙が溢れ落ちる。
「私は...ユーリに、これからも、
執事でいてほしかった...
だから、ジルに何を言われても
信じなかったし、
ユーリと離れたくないって言ってたんだよ......
ユーリのこと、本当に信頼してて......
ずっと...ずっと.........」
『.........っ...』
「もう...ユーリなんて...大っ嫌い...!!」
『............っ!』
「.........っあ…...!」
ココは、自分の発してしまった取り返しのつかない言葉に、はっとして顔をあげる。
と、そこには今までに見た事のないほど、
ひどく傷ついた顔をしたユーリがいた。
「あ...い、今のは......その......!」
『..........はは.....だいっきらい......か......』
ココの言うように、ジルの情報網はすごい。
城中に監視カメラでもつけているのか?と思うほどに
彼はなんでも知っている。
今回のことも.........バレないわけはないだろう。
となれば、
“私の執事、ユーリじゃなくなるかもしれないの”
この言葉が現実になるのもそう遠くはないはずだ。
しまいには、
“ユーリなんて大っ嫌い”
というココの言葉.........
悲しみ、不安や焦り、後悔に罪悪感...
色々な負の感情で押し潰されそうになったユーリは、
突然、大切にしていたはずの何かが弾けた。
『俺のこと......大っ嫌い...なんだよね...?』
「.........え?」
『専属執事はもう近いうちに解雇、
ココ様自身にも嫌われた。
もう、そうなったら俺......
大切なものなんて何もない.........』
ユーリは虚ろな目で、
ココの唇を親指でつぅー...となぞる。
『ココ様に二度と会えなくなる前に、
ココ様との思い出を作っても......
いい、よね......?』