第11章 STAND 11
パタパタと足音が近づいてくる。
和「はぁぁ………」
二宮が大きなため息を吐いた。
着物の両裾を膝まで持ち上げて、二宮母がこちらに走ってやってきた。
和母「ごめんなさい。皆に言い忘れてたわ。あの方は椿の間で休まれてるから。なんでも逆上せてしまったらしいわ。じゃあね~」
二宮母は、そう言ってまたパタパタと走り去っていった。
雅「にのみ~のお母さん、おもれ~♪」
「面白いというか、何というか…」
つかみどころのない人だな。
二宮そっくりじゃん。
和「いつもせかせかしてんだよ、母ちゃんは」
雅「ふーん。あ、それより、さとちゃんだよ。逆上せたって言ってたよね?大丈夫かなあ?」
翔「そうだね。二宮くん。大野先生の所に連れてってよ」
和「うん。こっち…」
二宮が翔くんの手を取って歩き始めた。
雅「お、それいいね~♪そいじゃ、俺らも手を繋いで行こうね~、潤ちゃん♪」
雅紀が手を差し出してきた。
「何でだよっ⁉そんな恥じいことしたくねえわっ!」
雅紀が口に手を宛てて、眉毛を下げた。
雅「まっ!この子ったら!反抗期かしら~?さっきは繋いでくれたのに」
「うっせ!」
お母さんと同じこと言うなよな!雅紀!
雅「はいはい。もう~、世話がやけるんだから~♪」
そう言って雅紀は俺の腕を絡めとり、ずんずんと歩き出した。
聞けっ!人の話!