第11章 STAND 11
「もう離せよっ!一人で歩けって!」
雅紀に絡まれている腕を大きく揺さぶった。
雅「まっ!照れちゃって。可愛い~、潤ちゃん♪」
雅紀は更にぎゅっと腕に絡まってきた。
「いてて。いって。いってえって!こっの、馬鹿力!」
雅「おほほほほ~。お馬鹿じゃなくってよ~♪」
ダメだ。
なに言っても敵う気がしねえ…。
くっそぉー!
和「ここ」
二宮が立ち止まって指差した部屋は、出入り口の扉が引き戸になっていて、そこには椿が一輪描かれている。
翔「きれい…」
雅「うん。きれいだね~。椿の間だから、椿が描いてあるの?」
和「さあ?母ちゃんが勝手にそう呼んでるだけだよ。だって、扉の絵は爺ちゃんの趣味だからね」
雅「ふーん。じゃ隣の部屋は、桔梗の間ってこと?」
和「うん、母ちゃんはそう呼んでる」
翔「雅紀くん。花に詳しいんだね~」
雅「そんな知らないんだけど、うちのお母さんが花好きで庭でなんか色々育ててるんだ。それで見たことあるなって。その程度だよ。あっ、潤ちゃんは詳しいよね?」
雅紀が俺の肩にガシッと腕を回してきた。
「だあから、いてえっつうの!」
雅「ごめんごめん。潤ちゃんはうちのお母さんとよく花のこと話してるじゃん?」
翔「へぇー、意外。それじゃあ松本くんもガーデニングとかしてるんだ?」
「俺は……盆栽…」
これ言うとみんなに引かれるから言いたくなかったんだけどな…。