第9章 STAND 9
雅「俺もそれ思った~。でもさ。潤ちゃんも気づいてなかったよね?」
先に駅舎に戻って横になってくつろいでいた雅紀が、ピョコンと起き上がった。
「なにを、でしょう?」
雅「翔ちゃんのこと、好きって。元々気になる存在だったけど、この旅で自覚したって感じかな~?それに、ライバルも現れたし~♪」
智「あ、な~るほど~♪」
さとちゃんが掌をポンッと叩いた。
「な、なな、ななな…!そっんな訳ないですよー。あはは、ま、雅紀も、さとちゃんもなーにを言ってるんでしょうかねー?ああ、おかしい。おかしいっすよー?」
なんなんだよー!
いつもの天然はどうしたんだよー!
智「んふふ。潤くん、敬語になってる」
雅「ほーんとに潤ちゃんは素直で可愛いな~♪」
雅紀がパシャリと俺を撮った。
「な、っんで…?」
雅「潤ちゃん可愛いからさ~♪」
智「雅くん、俺もそれほしい」
雅「OK♪」
あれ、俺、遊ばれてる?
ちょっと、ムカついてきたんだけども?
雅「潤ちゃん。俺は応援してるからね」
智「おいらも」
2人とも、いつものふにゃふにゃな感じは影を潜めて、真剣な顔で俺を見てくる。
雅「なに、その鳩が豆食べ過ぎたみたいな顔は~?」
智「雅くん。それを言うなら鳩が豆鉄砲を食らったような、だよ~」
雅「あり?間違えてた?」
「………」
智「潤くん。そんなに思い詰めた顔しないの、ね?」
さとちゃんがそっと抱き締めてくれた。
なんだよ。
こんなときに年上の包容力出すなよ…。
ずっりい。