第1章 STAND 1
雅「ん?何でって?」
翔「大野先生とはさ、音楽の授業の時くらいしか接点ないじゃん?」
雅紀が口角を上げ、片目を瞑った。
恐らく、世間一般でいうウインクだろう…。
翔「ちょっ!なんだよそれ?きもち悪っ!」
翔くんが対面の雅紀の肩をバシッと叩いた。
雅「気持ち悪いって、失礼な!」
ぷくっと頬を膨らませる雅紀。
そこを人差し指で突っついた。
雅「もう!潤ちゃん!何すんのさ⁉」
「はは。ごめんごめん。なんとなく、したくなっちゃって、さ♪」
雅紀が「もう!ほんとになんなのさ!」なんて言いながら、烏龍茶をズズーッと勢いよく吸い込んだ。
翔くんに脇を軽くつつかれた。
横目で翔くんをチラリと見たら、口パクで「雅紀くんって、可愛いね?」と言ってきた。
なんですと?
それは、聞き捨てならないなあ。
雅紀に視線を戻した。
ポテトを脇目も振らずに食べている。
ライバルは雅紀、かあ…。
ん?
ライバル?
ちがうちがう!
俺、なに考えてんだよ!
いくら、可愛くても!
翔くんは、男!
男。男。男…
雅「潤ちゃん。なに?さっきから、男、男って言ってるけど?」
ポテトを食べ終わって、容器をくしゃくしゃに丸めながら雅紀が聞いてきた。
ヤバッ。
また口に出しちゃってた…。