第5章 STAND 5
はああ?
歩け!
自分で歩け!
智「んふふ。潤くん、声出ちゃってるよ~」
さとちゃんから心の声が漏れてると教えてもらったが、今回は反省しないぞ!
むしろ、そいつには聞かれてもいいと思ってる。
後ろからグイグイ押してくるさとちゃんをかわして、そいつの腕を掴んだ。
〇〇「………なに?」
ギロリと睨まれた。
「歩けないんだったら俺が背負ってやる」
〇〇「いや、いい……」
「そんな遠慮すんなって」
そう言って、リュックをさとちゃんに預けて、そいつを無理矢理背負った。
そいつは、抵抗してくると思ったが、すんなりと背中に乗った。
あれ?意外。
翔「松本くん。いいの?」
「うん。大丈夫だよ」
翔「ほんとに?」
「うん」
これ以上翔くんに触らせてたまるかっての。
翔「それじゃ、お願いしちゃおっかなあ?」
「うん。任せてよ。だって、俺の方が翔くんより若いし体力あるからさ」
翔「あはは。そうだね。代わりに俺が松本くんの荷物を持つよ」
そう言って、さとちゃんから俺のリュックを受けとり背負った。
それから、翔くんが被っていたキャップをそいつに被せてやった。
翔「熱中症にならないように、これ使って」
〇〇「ありがとう…」
なんて優しいんだ、翔くん!
流石、俺が見初めただけはある!