第5章 STAND 5
智「あ、櫻井くん。君のをあげなくても予備の持ってるよ、おいら」
さとちゃんが、鞄の中をゴソゴソと探して、黄色のキャップを取り出した。
智「はい、これ使って」
さとちゃんが、そいつに黄色のキャップを差し出した。
他にも持ってたのか…。
準備いいなあ、さとちゃん。
でも、何故にこいつは黄色なんだ?
〇〇「ありがとう…」
そいつは、さとちゃんからキャップを受け取って、翔くんが被せたキャップを脱いで、黄色のキャップを被った。
それから、そいつは翔くんにキャップを被せてあげた。
翔「ありがとう」
〇〇「うん。その色、君によく似合ってるよ」
翔「そう?だったら、嬉しいな。俺、好きな色なんだあ、赤って」
〇〇「うん。とっても似合ってるよ。君のためにその色があるんじゃないかな?」
おいおいおいー。
俺の背中でなーに、カッコつけたこと言っちゃってんでございますかー?
翔「え、どゆこと?」
智「うひゃー!君、すっごいね~。そんなセリフ、聞いてるこっちが恥ずかしくなるよ~」
確かに。
いいこと言ったぞ、さとちゃん!
翔くんたちを先に行かせて、歩き始めた。
すると、首に回っていた腕をグッと締め付けてきた。
「ぅぐっ…」
くるし…。
こいつ、見かけによらず力ある…。
〇〇「くふふ。これは、おれからの宣戦布告…だ、よ?」
ふっざけんな!
振り落としてやろうか?
〇〇「あの人の前で出来るんなら、どーぞ。くふふ…」
なに⁉
それが狙いだったのか!
こっの、キツネ野郎!