第9章 日常
次の日、目が覚めるとそこに悠一の姿はなかった。
もう起きたのだろうか。今日から暫くは何の予定もない。あると思っていた学校も、修理の事もあって早めの冬休みとなった。
僕(太刀川さんとの約束あるんだった。早く準備して本部行こ)
そう思い足を下ろして伸びると、部屋のドアが開いて悠一が入って来た。
迅「寝坊助〜。今何時だと思う?」
僕「へ?」
言われて初めて携帯の時計を見る。時刻は12月17日9時40分を過ぎていた。
ついでに言うと、太刀川さんからめっちゃ着信が来ていた。
僕「うわぁ...めっちゃ寝過ごした。しかも履歴がエグい。起こしてよ〜」
迅「起こしたのに起きなかったのは明希だからね〜」
ハハハと笑いながら揚げせんを食べ始める悠一。今気付いたけど、この部屋揚げせんの箱が山積みになっていた。栄養偏るぞ。
それより
僕「僕が起きるまで起こして。どんな手を使ってでも起こして」
迅「言ったな?ほんとにどんな手を使ってでも起こすよ?」
ニヤッといやらしい笑みをした悠一が楽しそうに言った。
それに一瞬怯んだが、僕も負けじと言い返す。
僕「い、いいよ!ぼ、暴力的な事じゃなかったら何でもいいから!」
迅「りょうかーい!実力派エリートが寝坊助をしっかり起こしてあげよう!」
無駄にイキイキとし始めた悠一にムカッとして、ほっといてリビングに行く。後ろから「無視しないで〜」と情けない声が聞こえてくるが知らん。
さっさと朝食を食べて身支度を整える。
悠一に今日の予定は?と聞かれたので、「取り敢えず太刀川さんと模擬戦の予定が入ってる」と言うと、「じゃあ俺も行く」と言うから好きにさせた。
本部に着くと、悠一に案内して貰って模擬戦のブースまで行く。本部には似たような廊下ばっかで迷子になりそうだ。
ブースに着いた途端、空間全体が騒がしくなる。僕が「なんだ?」と思っていると、個室の方から「おーい!」と声が聞こえて来た。
声の主はやはり太刀川さんで、凄い勢いでこっちに来た。
太「藤咲!お前電話にでろよ!」
僕「すみません。さっきまでずっと寝てました」
太「俺は楽しみ過ぎて8時に目が覚めたんだぞ!」
僕「いや、それも大概遅くないですか?」
太「そんな事より早くやろうぜ!」
そう言って僕の手を引き、個室に入るように言って隣の個室に消えていった。