• テキストサイズ

モデルのボーダー隊員【ワールドトリガー】

第8章 襲撃


僕「普通、モールモッドが突然消えるなんて事も、人体が急に光る事もありません。光が消えると僕の手にあったのは進さんではなく...この黒トリガーでした」

会話の途中から涙が頬を伝った。

僕「これを見た瞬間、全てが理解出来ました。したくなかったんですけどね...。進さんはとても優しい人で、そんな進さんが僕は大好きでした...。僕の一方的な片想いですが...目の前で、自分の大好きだった人が死んでしまったんです。当然、声が枯れるくらい泣きました。...目の前のこれを信じたくなくて、周りの状況を全て忘れて泣きました...」

次第に体が震えてきた。風間さんも、最初は驚いたりしたものの、今は真剣な顔で僕の話を聞いている。
本当は風間さんも泣きそうな筈なのに...。

僕「どれくらいの間...そうしていたかは分かりませんが...暫くして泣き止んだ僕は、雷刃を持って戦場に出ようと立ち上がりました。...しかし、そこで僕の意識が切れました。恐らく...精神的なダメージが大き過ぎて...気絶したんだと思います。...目が覚めるとそこは病院で...枕元には雷刃がちゃんとありました。その日から、僕は常に雷刃を鞄に入れて持ち歩き...今に至ります...」

そういった僕の顔は、涙で一杯だった。何度拭っても絶えず出てくる涙に嫌気が差してきた。

風「藤咲と言ったか」
僕「はい」
風「俺は、兄が行方不明だと聞いてからずっと怒っていた。ボーダーに対してではなく、兄に対してだ。頭はいい癖に変な事言うし、俺を構い倒そうとするような兄が、突然行方不明?こんな忙しい時に、周りの人間にも影響する奇行まで始めたのかと思った。丁度その時、ラジオのニュースをつけていたから、大規模侵攻の現在分かっているだけの死者数、行方不明者数を聞いて、奇行に走ったんじゃなく巻き込まれたのだと察した。お前が言うように、兄は優しい。それは俺もよく知っていたから、助けようとして巻き込まれたのだとな。まぁ、実際は黒トリガーになるという、奇行にも近い事をしていたがな...」

風間さんが半ば呆れたような口調で溜息をついた。

風「兄の優しさがお前の重荷になっていたなら済まない。兄の代わりに謝罪する」
僕「謝罪なんてとんでもないです!寧ろ、ずっと僕が持ったままにしていてすみません!」

2人して謝ると、思わず笑みが零れた。
/ 131ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp