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モデルのボーダー隊員【ワールドトリガー】

第17章 仲間


番組も終盤に差し掛かった頃、ある質問で俺は怒っていた。

ア「続いての質問です。少し前に行われたボーダーの記者会見で、眼鏡の中学生隊員、三雲修君が乱入されていたのはご存知かと思います」

え、何それ初知り。修君そんな事したの?と思っていると内部通話で嵐山さんが大まかにだが説明してくれた。
ふーん...修君をスケープゴートねぇ...。

ア「訓練生が訓練以外でトリガーを使用する事について、どう思われますか?」
嵐「そうですね...。規則上、訓練生の訓練以外のトリガー仕様については禁止されています。でもその時の状況を生徒達から聞くと、三雲隊員が動かないと確実に何人か死んでいた事になります。死んでいたかもしれない命を救ったんですから、この件については三雲隊員を褒めるべきだと思います」
ア「記者からの質問にもありましたが、そのせいでこの先、訓練生が狙われることになってもですか?」
俺「逆に聞きますが、もし目の前で自分の大切な人...恋人や家族や友人が近界民に殺されそうになっていたら、皆さんはその人達を見捨てる事が出来ますか?」
ア「そんな事出来る訳...あ」
俺「それと同じなんです。訓練生の中には、近界民が怖くて訓練でも倒せない人がいます。ましてや実戦でなんて更に恐怖で溢れると思います。三雲隊員にも多少の恐怖心はあった筈です。それでも、取り残された人を助けに行った。たとえ見ず知らずの人でも、あまり接点の無い人でも、三雲隊員にとっては守るべき対象になるんです。...実際、目の前で大切な人を殺された人は何人もいると思います。ボーダーにもそういう人は一杯います。俺もその内の1人です。10年以上昔に家族が行方不明になったままで、未だ帰って来てませんし、4年前の侵攻では目の前で大切な人を亡くしましたから」

僕がそう言うと、スタジオ全体がシン...と静まり返っていた。

俺「あ、何か空気重くしちゃってすみません」
ア「い、いえ!そんな事ないです!とても考えさせられる内容でした!」
司「そろそろお別れの時間になりました。今回のゲストは、嵐山隊の皆さんとシュウさんでした!」

◇◇

生放送後、賢に例の記者会見の映像を見せてもらった。嵐山さんに聞いた通り、修君が怒りの捌け口にされていた。
幾ら鈍い人でも、言いたい放題言われて傷つかない人はいない。あの時昏睡状態だった自分に酷くムカついた。
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