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モデルのボーダー隊員【ワールドトリガー】

第16章 捕虜


ヒュースを見て既視感を覚える。ヒュースにはこの間の大規模侵攻で会ったが、ちゃんと見ていなかったからその時はわからなかったが、今は何故か懐かしい気持ちになる。
悠一にSEを使って問おうとするが、おかしい。読ませる方が使えない。

僕「悠一、ちょっといい?」
迅「わかった」

キョトンとする2人を残して廊下に出る。

僕「...ねぇ、僕のSEの片方が使えないんだけど」
迅「知ってるよ」
僕「何で?今までこんな事無かったのに…」
迅「実は...明希が目覚める直前に、進さんがそのSEを消したんだ。コレと俺がいると、また暴走するからって言って」
僕「...そうなんだ。そういう事なら目覚めた時に言って欲しかった」
迅「ごめんね。言うつもりだったんだけど、明希が目覚めたのが嬉しくてすっかり忘れてた」

そう言って頭を搔く。嘘は言ってないからいいか。

僕「それより、ヒュースの事なんだけど」
迅「うん。俺も思った。似てるよな...蓮流に」

『蓮流』とは、現在も行方不明になっている僕の弟の名前である。僕の1つ下で、黒髪青目。姉の自分が言うのもなんだが、顔はイケメンの部類だった。勉強も運動も得意で、特に絵と歌が上手だった。勿論、悠一も蓮流の事は知っている。2人共仲良しだったし、SEの事もちゃんと理解してくれていた。人懐っこくて誰にでも優しい。女子の人気は絶大だった。疲れて僕の元に掛けて来た時『大変だね』と言った事がある。すると蓮流は『姉さん程じゃないよ』と返した。自分にそんな自覚なんて無いからその時はそれで終わった。

僕「懐かしい気持ちになっちゃったけど、ヒュースは蓮流じゃ無いからね。第一に髪色が違う」
迅「染めてるって可能性は?」
僕「向こうに髪染めがあるとは思えないけど…」
迅「いや、可能性はある。ヒュースが元はこっちの世界の人間だと仮定した場合、連れ去られてまず記憶を消されるだろう。そして見た目もある程度は変えられているかもしれない。そうなったらヒュースが蓮流の可能性も充分「やめて」...ごめん」

気付けば悠一の言葉を遮っていた。悠一の言う通り蓮流が生きていて、それがヒュースの可能性は充分ある。でも、変に期待してもヒュースに悪い。記憶が消されてるなら、今のヒュースに聞いても意味がない。考えるまでも無くわかる事だ。

僕「...そろそろ中に入ろう」
迅「うん」
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