第2章 オモイオモワレフリフラレ【柳 蓮二】
久しぶりに飲み会に参加して酔った私は、家に着いてから寂しく感じ、奴に電話してみた。
繋がったことを理解させる無機質な音の後に聞こえたのは無機質な女の声。
この20秒に何を残したところで奴の声は聞けないのだろう。
あぁ、また寒い寒い冬が始まる
朝、重たい頭を起こし、ケータイを見ると奴からメッセージが入っていた。
『出れなくて悪い。どうかした?』
いつもと変わりない文章に、いつもと変わらない返事をして家を出た私は、今日も笑顔で奴に挨拶をする。
痛んだ胸に柳の『大丈夫だ』という落ち着いた声が聞こえた気がした。