第6章 演技って大変……
僕は学校に台本を持って来てこっそりと覚えていた。
台詞が多いし、恥ずかしい言葉まである。
声だけならいいけど、ドラマだから表情までいれるからなぁ。
顔赤くなりそう……
僕が演じる男の子は全然目立たなかった男の子がある子に一目惚れして変わり、女の子にアプローチして行くっていう恋愛下手な子の設定なんだけど……
僕と少し似てるのかも。
恋愛経験ないから僕だって恋愛下手だし。
「『僕は君が好きなんです。初恋なんです。』……か……」
『少し詰まる感じに』『緊張した声』
台詞の横にはそう書いてある。
緊張した声ってどんな感じなの?
「君ってだれ?」
「うわっ!大輝!?////」
後から急に声をかけられてビックリした。
「で?好きって?誰が?」
「な、何でもないよ!てか何でそんな怖い顔してんの?!」
「別に……」
別にって言ってる割には気にしてるよね?
もう……すぐ拗ねる……
「他の子には内緒だからね?……これ、次のドラマ僕主演なの。その台本だよ。」
「は?!主演!?」
「しっ!声大っきいよ!まだ非公開なんだから!」
「ご、ごめん……けどお前すごいな!」
「うーん……不安だらけだよ……台詞も覚えられないし……」
「テストよりそんなのマシだろ。瑞希、成績良いし。」
「全然違うよ。感情とか、どんな表情とか頭に入れなきゃなんだから!」
「そっか……なんなら手伝ってやろうか?」
「気持ちは嬉しいけど、さすがに台本見せられないから……ありがとう。」
「そっか……頑張れよな!」
「うん!」