第3章 素直な気持ち
僕が載る雑誌はテレビ番組情報誌の表紙。
シンプルだけどオシャレな衣装を着ての撮影。
スタッフの人たちがアドバイスをくれる。
青山さんも見てる。
「次は少しカッコイイ感じで行こうか。」
「は、はい!」
結構注文が多くて大変だ。
「ちょっと顔が堅いかな……」
「すみません……」
なかなか上手くいかない。
カッコイイ感じって……どうやるのかな……
ポーズとかもわかんないし……
「瑞希くん、休憩しようか。」
「はい……」
結局、1枚もいいの撮れてないし……
少し休もうと水を飲みに行く。
椅子に座ってペットボトルを手に取る。
隣には裕斗君がいる。
ずっと撮影中見てたんだ。
どうしよう……上手くいかない……
「……瑞希。」
「はい……」
どうせ馬鹿にされる。
こんなのも出来ないのかって。
すると、裕斗君は僕の両頬を摘んで引っ張った。
「いっ!だだだ!!何するんですか!?」
「もっと力抜け。表情筋和らげろ。」
「でもどうしたらいいか……」
「いつも通りでいい。」
いつも通り……
「ポーズとかは適当にしてればカメラマンがいいタイミングで撮ってくれる。周りの道具をもっと使うんだ。」
周りに道具があるのを今知った。
余りに緊張しすぎて見えてなかった……
5分程して気持ちが少し落ち着いた。
「すみません。もう大丈夫です。」
撮影の位置に移動して周りを見てみる。
ちょっとオシャレな白い椅子。
それを持って来て逆向きに座る。
背もたれ部分に肘を付き手に顎を乗せる。
表情……少し裕斗君みたいな感じにしてみるかな?
少しだけ口角を上げて……
「おぉ!いいね!すごく良くなった!」
他にも色んなポーズをしてみた。
その後も色んな注文が来た。
可愛い感じとか、元気な感じにとか……
何とか撮影は無事終了。
裕斗君が居なかったら出来てなかったかも……
後でお礼言っとかなきゃ。