第12章 パズルピース
瑞希side
暗く重い空気が流れる部屋で僕たちは一言も発さなかった。
「瑞希…何で薬を飲んでいたんだ?」
「病院から貰った薬、中々効かなくて…それで…」
ネットで色々調べているうちにあの薬を見つけた。
最初は半信半疑で飲んだ。
値段もそこら辺の薬とは違ってかなり高かった。
でも、その薬は気持ちも軽くなって、苦しみが消えた。
それからは止められなくなった。
ダメだとわかっていた。
「本当にすみません。」
「うーん…」
いつもヘラヘラしていて笑顔の入江さんも顎に手を当て怖い顔をして考え込んでいる。
「で?これからどうしていきたい?」
これ以上迷惑はかけられない。
裕斗君とも気まずい雰囲気だし。
「…僕、抜けます。star pieceから。これ以上僕がいたらこのグループ壊れてしまいますし、この事務所だって。」
そう決心して、入江さんの目を見つめた。
「ふざけんな。」
横から声を出して来たのは裕斗君だった。
低い声で僕に言った。
「抜ける?そんなこと許さねぇ。」
「でもっ!」
「俺たちは!!」
裕斗君が勢いよく椅子から立ち上がりテーブルをダンっと叩いた。
「…1人1人がパズルのピースみたいなもんなんだよ…1人でも抜けたら完成しない。5人で1つなんだよ!4人になってしまった俺たちにお前が加わって雰囲気が変わった。明るくなった。やっと完成したと思ったのに…やめるって…させるかよ。」
1人1人が…ピース…
5人揃って初めて完成する…
…star piece…
「じゃあ、どうしたら…」
裕斗君が入江さんを向き直して提案した。
「…1人抜けるくらいなら…解散した方がマシです。」
その言葉に驚いたのは僕だけだった。
みんなはもう諦めているようにも見えた。