第12章 パズルピース
裕斗side
ラストの曲が終わり、ステージ裏でアンコールの声を聞いていた。
急いで着替え、アンコールの準備をする。
だが、瑞希だけは着替えなかった。
壁にもたれかかり息を切らしていた。
「瑞希?大丈夫?」
隼也に声をかけられ、瑞希は顔を上げる。
「はい、すみません。すぐ着替えます。」
後半辺りから瑞希の様子がおかしかった。
身体がうまく動かない感じだった。
声も出しずらそうだった。
「準備okです。」
「待て。」
瑞希の腕を掴み引き止める。
「アンコールは無しだ。」
その場にいた全員が目を点にしていた。
「瑞希の体調が心配だ。具合が悪いんだろう。」
「だ、大丈夫です!アンコール待ってるファンの方々がこんなにいるのに。僕はアンコール受けます。」
「瑞希、お前な。」
「今日が最後なんだからちゃんとしないと。」
「はぁ…わかったよ。」
結局ステージに出ることになったが、瑞希が気になって仕方がなかった。