第11章 翔太
「今日でツアー最終日だ。精一杯やるぞ!」
真広が俺らに声をかける。
そう、今日が最終日。
これさえ乗り越えれば、少しはマシになるはずだ。
瑞希の顔色はどんどん悪くなっている。
「瑞希。大丈夫か?」
「うん。今日は大輝がくるから。頑張らないと。」
「そうか。」
急いでステージ裏に向かう。
瑞希と話してわかった。
呼吸が荒かった。
熱もありそうだった。
虚ろな目で前を見つめている。
「さーん!にー!いーち!」
観客からのカウントダウンが始まっていた。
そして、ツアー最終日が始まった。