第10章 忍び寄る影
「誰だ……お前……」
裕斗君の顔は一瞬にして怒りの表情に変わった。
「っ!くそっ……」
男の人はその場から慌てて逃げるようにして走っていった。
裕斗君がそれを追いかけようとした。
「待って……裕斗君……1人にしないで。」
「分かった……」
僕を優しく抱きしめてくれた。
1人になりたくなかった。
まだ恐怖心は消えない。
「何とかするって約束したのに……ごめん。」
「うん……」
僕も裕斗君を頼りすぎた。
それに、不用心だった。
「僕もごめんね。」
裕斗君が警察に被害届を出しに行った。
マスコミとかに話が広まるのは怖かったけど、警察の人が公にしない様に取り組んでくれた。
顔を覚えていたため、すぐに犯人は捕まった。
その後も僕のストーカー被害は世間に広がることはなかった。
これからはストーカー被害に怯えずに過ごせる。